だから何ですか?
唇を離したのは舌の上からチョコレートが完全になくなった頃合いか。


余韻たっぷりに亜豆の唇を舐め取りながら僅かに離れれば、クッタリとデスクに沈んで胸を上下させる姿が視界に焼き付く。


溢れだした涙が赤い頬の上にあるのを指で取り除きながらクツリと笑って覗き込むと。



「お返し」


「はっ・・はぁ・・おか・・えし?」


「散々俺に亜豆を焼きつかせて依存させたお返し」



そう言いながら手に掴んでいたチョコレートをパラパラと亜豆の胸の上に落としてにっこりと微笑むと。



「これ食うたびに亜豆を思いだして堪らねぇ」


「っ・・」


「会いたくて、話したくて、触りたくなってもどかしいってのに電話も出なけりゃメールだって気まぐれ放置だ」


「それ・・は・・」


「声を聞いたらもどかしくなるから。・・・だろ?会えねぇのにって」



そんな事はもう言われなくても理屈は知ってるんだよ。


でも理屈で収まる欲でもねぇだろう。


< 315 / 421 >

この作品をシェア

pagetop