だから何ですか?
高まった反動なの高まった反動なのか亜豆がキス一つに悶えながら吐息を零すのに恍惚とする。
それに惹きつけられ必然の流れのように
そんな風に意地悪に口元の弧を強めた刹那であった。
不意にピンッと意識が他所に張って、それに更に注意を払う様に亜豆の口を手で覆った。
シンッとした中で警戒を置けば遠くから近づいてくる人の気配。
誰かなんて事は考えなくても分かる事だ。
井田と小田。
さすがに戻ってきてもおかしくない頃合いだったからその事に驚きも焦りもないけれど、組み敷かれたお嬢さんからすればさすがに焦る状況なんだろう。
決定的な事には及んで居らずとも実に扇情的に身なりも表情も崩れたもの。
『どうするんですか?』とばかりに涙で潤んだ大きな目の視線がこちらに向いて、そんな戸惑いを見下ろせば思わず湧いたのは悪い心と言えるだろう。
普通で考えるなら今ここで解放し身なりを整え平然を装うのが一番。
でも、まだ、ここに至るには距離を感じる2人の声。
しかも自分のブースはロールスクリーンも降りていて中の様子はそう簡単に分かり得ない。
そんな確信犯の思考で亜豆を解放するどころか唇を塞いで甘ったるいチョコレートタイムの続行。