だから何ですか?


「えっと、大丈夫?」


「・・・何がでしょうか?ああ、隠滅したい【履歴】でしたら早急に自ら消去するが如く身支度終えてますのでご安心を」


「いやいやいや、アレは冗談だから。いつもの如くおふざけ交じりの会話しただけだから」


「いつも通り・・・。つまり常日頃彼女からあんな賞賛の言葉をかけられているって事ですかね?」


「いや・・・あれは、」


「私と付き合ってると彼女に言ってないんですね」


「えっ、」


「言うつもりもなさそう・・・でしたけど」



慣れた所作、手櫛を通して縛り上げられる髪を見て、その光景は純粋に見惚れる要素だと思うのにそれには浸れず。


言われる言葉は敢えての棘なのか。


チクチクと刺さる感覚に居心地悪く亜豆と対面して、ようやくスッと絡んできたまっすぐな視線と言葉にはどう反応すべきかと不動になる。


言っていない?確かに言っていない。


でも言い訳すれば言う様な機会がなかったから。


別にどちらかが明確に告白したような関係じゃない。


普段だってあんなおふざけ交じりで交わすのは仕事の話ばかりだったんだ。


今だってそうだ、明確な告白を受けた場面でないのにそれに対して亜豆の事を持ちだす流れだっただろうか?


それでもこれは本当に言い訳になるのか?


そんな思考がグルグルと回って言葉に詰まっていれば、まっすぐに俺を見つめ抜いていた亜豆がフゥッと息を吐くとデスクから身を下した。


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