だから何ですか?
「なんて、・・・大丈夫です。単に意地悪投げただけです」
「・・・えっ?」
「意地悪された仕返しですから。よく分かってます。はっきりとした告白を受けたわけじゃないのだから、今は私の事を宣言する場面ではなかったですよ」
「亜豆、俺は・・ん___」
淡々と返される言葉はまさに俺が頭に思い悩んだ言い訳だ。
それを相変わらずの無表情でさらりと理解よく口にした亜豆の真意は読み取れない。
本当に亜豆の言う通りに意地悪返しの言葉だったのか、誤魔化しに来た本心なのか。
それが探れないというのなら逆に俺の本心を口にしようとしたタイミング。
開いた口におもむろに放り込まれたのはチョコレートで、『えっ?』と思った瞬間には首に巻き付いてきた亜豆の腕と引き寄せ重なってきた唇。
さっき俺がしたように舌を絡めてチョコレートの甘味を共有して、思いがけない行動にされるがままでいれば余韻たっぷりに唇を舐めながら離れて俺を見つめ上げる亜豆の双眸。
「・・・嫉妬すらも恋愛の醍醐味なんでしょうね」
「・・・・・へっ?」
かなり間の抜けた声と表情をしたんじゃないだろうか。
スッと離れた亜豆がそのままブースから身を出さんと動きだすのもポカンと呆けて見つめてしまって、そんな俺にいつものドライな無表情で振り返るとピッと俺を指さし、
「気が狂うくらい惚れ込んでますから、心配せずそんな私に依存しててください」
「あ・・亜豆?」
「別に、気にしてませんから」
そんな締めの一言。