だから何ですか?
「言ったでしょう?」
「あっ?」
「仕事に夢中な伊万里さんも好きなんです」
「・・・・」
「だから、デートだなんだって浮れて手抜き仕事になったら許しませんよ?」
「それ、喜んでいいの?」
どこまでも色気も可愛げもねぇな。
お前は上司か母親か?
至って真顔で煙草を噴かし、そんな事を思ってからようやく苦笑いを浮かべ空を見上げる。
そんな俺を確かめる様にこちらを振り返っている亜豆には気がついていて、その視線が俺から景色へと戻って前を向くのを感じた。
「だって、私が楽しみで楽しみで、浮れて全身コーデでデート着新調したなんて言ったら伊万里さん仕事に集中出来ますか?」
「・・・・」
「毎日毎日しかも頻繁に土曜日の予定眺めてにやけてるって言っても気が逸れませんか?」
「っ・・・」
「あんなに馬鹿にしてたクリスマスムードにハイになって家ではクリスマスソング口ずさんで、雑誌のモテ髪モテメイク特集睨みつけてるって言っても・・・仕事に差し支えませんか?」
「っ~~差支えるかも・・・」
「じゃあ、・・・言いません」
フフッと笑った声を響かせ、すぐに煙草を咥えた唇は綺麗な弧を描いたまま俺に魅せつける。