だから何ですか?



「・・・キス好きですね」


「その先も好きだけど、」


「知ってます」



ソフトなキスなら言葉を交わす余裕があるらしい亜豆がクスリと笑い、それに小さく笑い返しながら啄ばんで身を離す。


朝から濃密すぎる接触は会えない時間に身を滅ぼす。


きっとこのくらいが丁度いいと、至近距離で笑いあってから元の体勢に戻った。


今ほど重なっていた唇に『ほいっ』と戻したのは自分の吸っていた煙草で、自分の口には亜豆の吸っていたものを。



「ストーカー嬢には堪らないだろ?俺の吸いさし」


「分かってないですね。こういうのは本人がいない所で妄想に耽ってするから興奮もするんですよ」


「真顔で変態発言するか」


「伊万里さんだって私があげたチョコを食べながら私に想いを馳せていたのでは?」


「相性いいな、変態同士」



ククッと笑って吸った煙草の煙を亜豆に吹きかける。


そんな煙に顔をしかめつつも口元には弧を描く彼女。


居心地がいい。


どこまでも。


寒さなんて気にならないほどで、時間の概念を捨て去ってこのままのんびりと過ごせたらいいのに。


なんて、思った思考を遮ったのは、



「伊万里さん、」



一瞬でリアルに引き戻しに来た声音に意識と視線を入り口にむけて、視界に捉えたのはにこやかに「居た居た」と近づいてくる小田の姿。




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