だから何ですか?
気がつけば・・・いつの間に身を引いていたのか。
我に返って改めて亜豆を見ればいつの間にか後退してさっきまでの踏み込んだ距離からは離れている。
知人の距離と言うべきだろうか。
俺に伸びていた手もいつの間にかしっかりと組まれて収められて、その目は近づいてくる小田に向けられている。
「亜豆さん・・・ですよね?秘書課の」
「お疲れ様です」
「偶然ですね。こっちは飲み会で。亜豆さんももしかして秘書課の方たちと?」
「いえ、私は、」
「俺が口説いてデート中だよね」
急に現実に引き戻されたような反動はデカく、近づいてきた小田にもまともな反応を出来ず。
そのまま目の前で成される亜豆と小田のやり取りを不思議な感覚で傍観してしまっていた。
当たり前の事なのだけどもまったくわだかまりなく、小田に関しては懐っこく顔見知りの姿に声をかけて、亜豆もそれに何食わぬ感じに返している最中。
俺も忘れるなと言いたげにその場に介入したのは海音の姿。
亜豆の背後から近づいたかと思えば敢えて親しさを示す様に肩に手をまわしてにっこりと他者を惑わすような笑みを振りまいている。