だから何ですか?
どこか必死さを感じる眼差しと口調と、僅かに赤らむ頬はきっと化粧の色味じゃない。
ここまで好かれているとは思わなかった。
自分はこれと同等の思いを彼女に馳せていただろうか?
そんな疑問もちらつく感覚で呆けて小田を見つめていたけれど、
「おはよーっす、」
そんな、間の悪い井田の登場の声にその場の空気を破られて、今までの表情をパッと切り替えた小田がいつもの笑みで井田方へと意識を変える。
「おはようございます。井田さんでもちゃんと朝から顔出しましたね」
「小田っち俺を馬鹿にしてない~?次の仕事に繋がるように俺だって印象守りますよ」
「あはは、井田さんらしくもない」
「ですよね~。俺がこんな真面目だから外は雪降り始めたよ~。カップルがますます盛り上がっちゃうねホワイトクリスマス~なんて。クリスマス死ねっ!」
「あはは、」
そんな小田と井田の会話を眺め、力なく笑っていても頭の中には先程の小田の姿や告白が鮮明でもどかしい。
それでも・・・どうしても今は亜豆しか見えないし考えられない。
そんなぶれない自分を感じるからこそ小田の『好き』だという感情に意識が走る。
だって・・・
好きという感情が如何に厄介で、もどかしくて、苦しい物か身をもって知ったばかりだ。
それに応えてやれない、
報われない『好き』の感情は一体どうなっていってしまうものなのか。