だから何ですか?
♡♡♡♡
伊万里さんの匂いがする。
そんな嗅覚の覚醒から入った目覚め。
ゆっくりと重苦しい目蓋を押し開ければ視界に捉えたのは見慣れないグレーの布団。
どこだっけ?なんて記憶障害のような思考もなく、気怠い体が記憶に鮮明な時間を敢えて教えにくる。
まだ夜と言えそうな暗さの朝方に自ら彼の上に跨り欲に溺れた代償は大きいらしく、何とか起き上がるも腰の痛みに思わず目を閉じ痛みを取り除く様に手で撫でる。
そのままむくりとベッドの上で体を起こせば当然隣にその姿はない。
そこはきちんと記憶がある。
8時くらいだっただろうか、トントンと軽い力で起こされて、寝ぼけた頭の自分に『行ってくるから』と口づけを落とし部屋を出ていった姿。
部屋を好きに使っていいという権利も残していってくれて、それにあやかりゆっくりベッドから身を下すと下着やインナーだけは身につけ寝室を出る。
欠伸を零しながら冷え切った廊下を歩き、リビングに向かうとその暖かさに少し驚いた。
ああ、暖房・・・つけていってくれていたのか。
初めて見る部屋の内装には好感。
シンプルに整っていて、家具も多分一つ一つが高額で、でも愛着あってそろえた物なんだろう。
レザーのソファやデザイン性の高い木製のコーヒーテーブル。
TVは結構な大きさで50インチはある?
さすが高級取りでいいマンションに住んでいるな。と広い部屋を見渡して、まず向かったのはオープンキッチンにある冷蔵庫。