だから何ですか?
見始めたのは新しい物からだったらしい。
つい最近のモノは記憶に新しい。
そこから順々、どんどんと懐かしいというものに変わっていき、その内に自分は直に見た事が無い物にまで変わっていく。
自分が入社する前のモノだろうと、美術鑑賞をするかのように壁に添って歩いて捉えて。
そんな小さな個展の様な物も永遠に続くわけじゃない。
最後の一つ。
でも・・・これは特別どこかの企業のポスター案とかではない。
それでも彼が手掛けた最初の一つ。
これだけは原本そのものが飾られ、映るのは朝焼けなのか夕焼けなのか、それに向かって立っている少女の後ろ姿。
ロングのパーカーワンピースで被ったフードから長い髪が風に舞って、少女の姿から零れるような逆光がまた雰囲気を感じる一枚。
気がつけば指先に無機質なガラスのフレームの感触を得る。
確かめる様に触れて、それでも指紋がついてはいけないとすぐに離すも視線は逃せず。
しばらく魅入られたように静寂の時を過ごし、そして、
「フッ・・・・」
自分の乾いた、それでも感極まった笑い声が静かな部屋に小さく響く。