だから何ですか?
そんな根付いた印象の先入観のせいか、こうやって分かりやすく説明されてもすんなりと受け入れられない海音からの亜豆像。
だって、ただ『好き』って。
それだけで満足?
言いたかっただけで、知ってもらいたかっただけで、
自分の感情が認識された事で完結して満足って・・・、
「可愛いだろ、亜豆」
「っ・・・」
「だから俺のお気に入り」
ククッと笑ったのは亜豆の可愛さになのか、俺へのからかいなのか。
この状況が酷く愉快だと言いたげな笑みを強めに、短くなった煙草をトンと灰皿に潰すと、高そうな腕時計で時間を確認しその身を動かし始めた海音。
未だ脳内処理が追い付かない状態では最後の嫌味な笑みにも対抗する言葉も浮上せず、阿呆みたいに呆けて立ち去ろうとしている後ろ姿を見つめていたけれど。
「・・・ああ、もう一つおまけに亜豆の可愛い計算の詳細を【うっかり】零しちゃえば・・・」
「・・・・・」
「吸えなかったんだよ」
「・・・・はっ?」
「煙草。入社したての頃は一切ね。それをクールに吸えるようになったのは誰の影響の自己満足かな?」
「っ・・・・」
ああ、最後の最後まで嫌味な笑みの継続。
最後はクスリと声まで響かせて背を向けた姿に、これまた切り返す言葉も浮上しないで放心状態。