だから何ですか?
ここで止められては中途半端でスッキリしなくて、完成したものをこの目に収めたい。
そんな感覚から座っていた椅子から立ち上がり、掴んだ手を引きそこへ座るように誘導した。
それに抵抗はないらしく、促されるままストンと身を下した亜豆がすぐに視線をパソコンに戻し作業の再開。
カチカチとマウスを動かし文字のフォントを思いつくまま色々試してデザインに合わせる。
そんな作業を亜豆の背後で腕を組みながら食い入るように見つめ、どんどん形を成していくそれに感動と同時に心地のいい闘争心。
「お前・・・クリエイティブでも採用されたんじゃない?」
「・・・仕事じゃないから出来るんですよ」
「縛られたら出来ないタイプか?」
「そんなところです」
決して視線の絡まない会話。
お互いに見つめるのパソコンの画面で、話す内容も色気はない。
時折移す亜豆の姿も仕事に向かう後ろ姿で。
俺の虚像のままの印象。
出来る女。
隙がなく凛として綺麗な。
本当にこれが虚像なのか。
やはりこうして対面すれば疑ってしまうのは海音の方の亜豆のイメージだ。
可愛いとは程遠いような、本当に俺を好きなのか疑わしいくらいにドライな姿。