だから何ですか?
別に亜豆の真似事をしようとしたんじゃない。
見返りの反応が欲しいというより言わなきゃ収まりがつかなそうであった感情をキスで零し言葉で零し。
良い大人がする告白じゃない。
駆け引きも飾りもないただの丸裸の感情の言葉。
そんな言葉を弾くのは幼稚で恥ずかしい事なんだと思ってもいた。
自分なりに捻って飾りをつけて、原型さえ分からなくなったそれを受け取る側も捻りながら解いて受け入れて。
それが・・・大人で当たり前で。
如何にゴテゴテと元の良さを潰していたのかが分かった。
果てしなく・・・無垢で透明でストレートに・・・響く。
「・・・・何なんですか、」
「・・・ん?」
「だって・・・急に、何、」
「亜豆、」
『好き』だなんて言葉の素材の良さを改めて実感し変に感動すら覚えていたタイミング。
スッと俺の胸に添ってあった亜豆の手が僅か力を込めて距離を離して。
そんな距離を許すはずもなく、スッと顔を寄せ覗き込んだ顔は未だ動揺に満ちている。
それでも絡まない双眸はずっと至る所を泳いでいて、その間にままならない思考や言葉をまとめているような。
とりあえずはその状態を邪魔することなく至近距離から見つめ、ようやくピタリと目の運動が落ち着いたと感じた直後に静かにこちらに戻り絡む。