だから何ですか?
今更そんなところで意地を張って否定なんてしない。
それでも自分でかけておきながらこの男のおちょくるような、全部見知って予想していたような笑い声はやはりイラッと来るものがある。
「ハマったよ。なんだよ、あの可愛さ。ふざけるな抱きしめ潰してぇ」
『フフッ、すっかり本性丸出しで。ここ近年、会社では特に大人しいモラルあるいい男であったのに』
「なんか、・・・亜豆と対面してるとこっちも引きずられて地が出るっつーのか」
『亜豆は無垢で素直で可愛い子だからねぇ』
「ああ、可愛い。可愛すぎて・・・・だから、・・・手出すんじゃねぇ、海音」
『・・・それはまた、無茶苦茶な話だねぇ。自分がハマったから見るな触るな誘うな。・・・そう言いたいわけ?』
「アレは俺のだ、」
『・・・ふぅん、和のモノ・・ねぇ』
含みあるもの言いはいつもの事。
それは今この時にも反映されて、どこまでも俺の状況も言葉も予測済みで、弾く言葉に驚愕もしなければ憤りもない。
未だって予想のつくあの嫌味な笑みを携えこの電話に応答しているんだろう。