どうしたって期待したい!!
この浮れたムードが私をダークサイドに引き込むのだと、客に見えない位置で無駄にギュッと拳を握って憤りを堪えてしまう。
っていうか女々しいにも程がある!!気を抜けば『水城くん』って…私はアホか!!
彼と決別してからアホ程『鈴原』なんて幻聴を聞くわ、道行く姿を彼と見間違えるわ。
ああ、ほら今もまさに………
「っ……」
って、本人だよ!!うっぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!
マズイマズイマズイッ!!
ああ、でも久しぶりに見ても超絶イケメンで眩しいよ水城くん…。
って、うっとりしてる場合じゃなくてっ!!
彼を思いだして見つめていた雑踏であったから、捉えた姿は私の妄想からの産物だと思っていた。
なのに頭をクリアにしてもその姿は消えず、本人だと理解した瞬間にはパニックに陥る始末。
だってあの日以来会ってないし、なんかこの格好で会うの嫌だ!!
ど、どこか隠れる場所!!と、ワタワタした私がその目に捉えたのは……
「ちょっ、貸して!!」
「えっ、ああっ!!」
有無を言わさず。
隣に居たウサギ野郎の頭を引っこ抜くとガポッと自分が被ることでとりあえずフウッと安堵の息を吐く。
傍から見たらミニスカウサギなんて奇怪な生き物の発生となっていたんだろうけど。
でもこれでとりあえず彼に私の正体がばれる事はない。
フフッ、どこからでもかかってくるといいわ水城くん。