どうしたって期待したい!!



なんて、突如のパニックのせいかおかしな感覚でドヤっとしていたけれど。

「本当、何なのよっ!?」

おおうっ!?

浮ついたムードをぶち壊す勢いで響いたのは激情したような女性の声。

それにまわりのざわつき同様に、なんだなんだ?と視線を向けた先には……あ、水城くん。

まさにだ。

まさに、水城くんが激情したらしい彼女と対峙していて、その姿はヤレヤレと言いたげに頬を掻いている始末。

ああ、水城くん?その反応は確実に彼女の不満を逆撫でするものだと思うよ?とうっかり心の中で助言してしまえば、

「いい加減にしてよ!さっきから私が行くところ決めてばっかじゃない!好きなところ行っていいよって何!?」

「なにって…そのままの意味だけど。君が行きたいところに行けばいい。だって俺が勝手に選ぶよりそっちの方が確実性があるし君も楽しいでしょう?」

「何それ…何で私が好きなところだけなのよ!?投げやりに人任せにしないでよ!!」

「別に…投げやりに人任せにしてたつもりはないんだけど。俺だって自分の行きたい店に行ったじゃないか。でも、『早く行こう?』とか『まだあ?』なんて急かして連れ出したのはそっちじゃない?」

「っ……何それっ、私が悪者みたいじゃない!」

「悪者なんて言ってないけど?俺の趣味に付き合うのは苦手そうだから、だったら君の趣味を優先してあげようって思っただけだけど?」

「っ~~~最っ低、私に往来で恥かかせて楽しい!?」

「いや、別に恥かかそうなんて思ってないし、急に叫んで人目引いたのはそっちだと思う」

せ、正論~~~。

いや、うん、うん……正直ね、水城くんは何にも間違った事は言ってないと思うんだ。

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