愛してるからこそ手放す恋もある

今朝名古屋へ飛ぶことになった際、少しボスと言い合いをした。

「いつまでそんな仕事してるんだ?」

「そんな仕事って!?私にとってどれも大切な仕事です!」

「梨華は俺の秘書だろ!?そんな誰でも出来る仕事、他の奴に任せれば良いだろ!?いい加減俺の秘書だけに専念しろ!」

「私は秘書の仕事も、いい加減にしてたつもりありませんが!?でも、もしボスがそう感じていらしたなら、私の代わりを探してください!」

私はボスのスケジュールを書いた手帳をボスの机に置いてそのまま名古屋支社へ向かうべく社を出た。

癌のような大きな病気をした人が社会復帰するのは本当に大変なことなのだ。

二人に一人癌になると言われるこの時代に、復職支援がしっかりしている会社は数少ない。

運良く手術が出来、退院したとしてもその後も、抗がん剤治療は暫く続く。そして、何年も再発の恐怖と戦い、診察を受け続けなくてはならない。その度に会社を休まなくてはならないのだ。上司は勿論、同僚にも理解して貰わなければ、治療を続けることは難しい。

そして癌患者本人だけではなく、癌患者を支える家族も同じだ。検査だ入院だと付き添いたくても、会社の理解が無くてはそれは叶わない。

それは癌だけじゃなくても、全ての病に関して言えることだ。子供が病に掛かれば親は心配する。そして子も親を心配する。人は誰でも年老いていく、老いていけば、色んな障害も出てくる。物忘れがひどくなったり、体が衰え、風邪で命をおとすことさえある。

だから離れて暮らす親の事も心配になるだろう。

私は幸い上司に恵まれ、今は退職された木村部長と、そして菱野部長(菱野専務)のお陰で今こうして仕事を続けていられる。

だから、そんな人達の為に少しでも役にたてれば良いと私は思ってる。

なのになんでこんなに悲しいの…
どうしてこんなに胸が苦しいの…




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