愛してるからこそ手放す恋もある
トイレットペーパーから建築材まで幅広く輸入輸出してるうちの会社は、バレンタインも稼ぎ時でもある。
フランスでしか買うことのできない高級チョコレートがこの時期だけ輸入され、年間のチョコレート売上高の3割以上をバレンタインデーが占めるなど、その経済効果はあなどれない。
メーカーによっては5割以上を占めるものもあるらしい。そしてうちの会社もその恩恵をうけてる。
チョコは熱に弱い為、常温で保管できる冬が一番おいしく食べられる季節。その為、バレンタインシーズンには生チョコなど、口溶けが優れた商品も数多く増える。
「お菓子業界の思惑だろうと、普段は面と向かって言えない愛情や感謝の気持ちを、バレンタインチョコに乗せて伝えるきっかけにしても良いと私は思います!」
「愛情や感謝?仕事を放り出してまで、それを配り歩く事が良いと?」
「いえ…こちらに伺うのが遅れたことは申し訳なく思っております。でも、営業部の方には朝いちじゃないと渡せないものですから…ほんとに申し訳ありませんでした…」と私は素直に頭を下げた。
「まぁ良い。今日の予定?」
「はい!」
今日一日の予定を伝え、中東E国の石油王の息子サーリフアリアシド皇子を迎えにボスと空港へ向かった。
「通訳の手配は大丈夫か?」
「はい。大丈夫です」