愛してるからこそ手放す恋もある

小野田さんが来日にして、早1年。
今日はバレンタインデー。

街中がハートやリボン、そして甘い香りで女の子達、いや、世の女性が浮き足たっている。

私も何年か前まではその中の一人だった。
でも今は、正直言ってバレンタインなんてなくなれば良いのにって思ってる。

お義姉さんのつくったトリフチョコの入った紙袋を持ち社内を回る。
毎年行われる女性社員の恒例行事。

「気持ちです」と言いながら、義理チョコを配って回るのだ。

男性社員も義理チョコだと分かっていても期待は隠せ無いようで、営業部の人も、なかなか外回りに出掛けようとしない。

「ありがとう。佐伯さんのチョコは毎年楽しみにしてるんだ!」

「有難うございます。義姉(あね)に伝えておきますね?」

パティシエでもある義姉のチョコはとても人気で、毎年、女性社員からの注文も受けてる。

チョコを配り終わり、ボスの部屋へ行くと菱野専務が、いらしていた。

「おはようございます。菱野専務こちらに居らしたんですね?いま、お部屋に寄って来たんですがいらっしゃらなかったので?いつものチョコです」菱野専務にチョコの入った小箱を渡す。

「有難う。毎年、由美ちゃん楽しみにしてるんだよね!」

菱野専務は私の前では奥さんを、妻と呼ばずに"由美ちゃん"と呼ぶ。病院でバレて以来、今更隠す必要がないと言うことだろう。

「菱野、用が済んだなら出てけ!仕事の邪魔だ!」

あれ?凄く機嫌悪い?

「一番に君からチョコ貰えなかったから僻んでるんだよ?」と菱野専務は教えてくれた。

「違う!!バレンタインのチョコなんて日本だけだぞ!?クダラナイ!菓子業界の思惑奏功した結果だ!バレンタインは馬鹿な日本人の象徴だ!いつまでも呆けてないで、さっさと仕事しろ!」

「そんな言い方しなくても良いじゃないですか!?ボスも欲しいなら欲しいって素直に言えば可愛いのに!」

「誰が要るか!」




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