私を救ってくれたのは君でした。
「雪希ちゃん、大変だったね。もう大丈夫だよ」

「ありがとうございます」

嬉しかった。ママが、初めて私の名前を言ってくれた。それが嬉しかった。

「親権、どうしますか?」

ママが連れていかれたあと、教育委員会の人が来た。

「あの、親権って血が繋がっていない人でも大丈夫ですか?」

柏木さんが問う。

「はい、大丈夫だと思いますよ。それで雪希ちゃんが了承するのであれば。または雪希ちゃんが希望する大人が居るのであればそれが最優先されます」

「そうなんですね」

やっぱり、私の親権はおばさんかな?

「じゃあ、俺が親権貰ってもいいですか?」

「え!?」

「雪希ちゃんはどうですか?」

「私は全然いいです」

「では、親権は柏木裕翔さんに渡します。ここにサインしてください」

「はい」

柏木さんは、至って真剣な表情でサインをしていた。これから、私の家族は柏木さんなんだと思うと緊張してならなかった。気が気でならない。でも……嬉しかった、それに楽しみだった。

「はい、これで親権は柏木さんに渡りました。家は取り押さえしますので、家は柏木さんの方でよろしくお願いします。ではこれで失礼します」

「雪希ちゃん、今日からよろしくね」

「……はい」

「家は、俺の家でいいかな」

「えっ…柏木さんの家に……?」

「うん。だって今日から家族だよ?まぁお兄ちゃんって思ってくれると嬉しいな」

「……は、はぃ」

「辛かったよね、大変だったよね。気づいてあげられなくてごめんね」

柏木さんは私のことを抱きしめた。
やばい、嬉しすぎる。柏木さんの匂いがする。
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