副社長は花嫁教育にご執心
「でも、悪い事はやっぱりうまくいきません。私と黒川会長の前であんなにも洗いざらい喋っちゃって、三井さんは言い訳のしようもないでしょうから」
「……今回は、まつりに助けられたな」
ぽん、と頭に手を乗せられ、よしよしと撫でられる。照れくさいけれど、彼の役に立てたことが嬉しくて、頬が緩む。
いつもはなんとなく、灯也さんに支えられてばかりのような気がしていたけど、少しは妻らしいことができたかな……。
「それにしても」
じんわり温かい幸せに浸っていると、頭の上に置かれていた彼の手が、耳の脇を通って顎に添えられた。ドキッとして、上目づかいで灯也さんの表情を窺う。
さっきまで優しく細められていた瞳からは、私を焦がすような熱がじりじりと放たれていて、胸の奥が焼けるように熱くなる。
「さっきのキスにはやられたよ。まつり、あんな不意打ちができるようになったんだな」
低く囁く甘い声に、頬がぶわっと赤くなるのが分かった。