大好きな彼は超能天気ボーイ
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やっぱり心配で、ゼリーやら何やら買って来てしまった私。

功にも今回は反省してもらおうと、距離を置こうとしたのに、全然思い通りにいかない心配性の進行。

功の家の前。

功の家を前にして、こんなに緊張した事はない。

そっとドアノブに鍵を差し込もうとする。


ガチャ


え?


向こう側からドアが開くなんて…予想外すぎてその場で固まる。


「何、してんの?」


「あっ…えっと、やっぱり心配で、色々買って来ちゃい…ました。」


心配げに功の顔を見上げる。

功は私の顔をじっと見て、何の言葉も発さない。

表情が…読めない。

私の顔になんかついてますか?


「あ、私もう帰るね。
渡しに来ただけだから。……わわっ!」


強引に腕を引っ張られたかと思ったのもつかの間、功に背後から抱きすくめられる。

ガチャンッ


二度目のドアが閉まる音。


「こ、功っ!?」


「動かないで。」

いつもよりも、低い声。


「は、はいっ。」

私はかしこまって返事をする。


どんどん私を抱く力が強くなっていく。
ふっと
背後から顔が近づいて来たかと思えば…


「ひゃっ!?」


耳に走る、あったかくてくすぐったい感覚。
功が私の耳を甘噛みしてる…。

気づくのに時間はかからなかった。


「そんな可愛い声が出るんだ。」


クスッと笑う功。
なんだかいつもよりも…危険な感じがする。



「功っ、離してよ。
どうせ功は、私のことが嫌いになったんでしょ?昨日も酷いこと言っちゃったし…それに、」


「何?僕から離れたいの?
ていうかさ、いつ梨乃のこと嫌いなんて言った?」


「そっ…それは…。」


「もう離さない。絶対に。」



さらに私を抱きしめる功。
苦しい…はずなのに。

嬉しい。心が、喜んでる。



「功、林先輩の事好きなの?」


「林先輩?んーん。」


「本当に?じゃあ昨日のは?」


「あれは本当に
朦朧としてた時だったから。」


朦朧?


「確かに辛そうだったけど…もしかして意識なかったの?!」


功の能天気が裏目に出たのか?



「そんな驚く?まあ、目が覚めて梨乃の声聞いてかなり焦ったけど。」


「なんか…良かった。もう安心。」


「てゆーかさ、昨日のアレは、傷ついたなぁ。
‘功のこと好きになった自分が馬鹿だった’…
とか。」


「ぐっ…ご、ごめんなさい…。」


あれはつい気が動転しちゃって…


「で、梨乃さんの方は?これで良いの?」


「うん!私は功が好きっ。」


くるっと向きを変え正面から功に抱きつく。



「…可愛い。なら、もう離れちゃダメだよ。
まあ、昨日先輩から訳は聞いてたしね。」


すると功は優しく頭を撫でた。
何だ…聞いてたんだ。



「なっ…またありがとうございますって言わなくちゃね。」


「ん。そうだね。」


功は首筋に顔を埋めキスを落とす。


「いっ…痛い」


つねられたような、
ちょっぴり刺激的なキス。


「これ付けても問題ないね。」


「何をつけるの?」


「んーん。秘密。いつか言ったよね。男はみんな狼だって。」



「え、うん。そんなこと言ってたような気がする。」


「気をつけてよ。梨乃は隙だらけだから。
結構綺麗についたね。隠すのは無しだよ?」


「ん?何を?
と、とりあえず了解いたした!」



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