オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)

……じんじんと、

叩かれたほうのほっぺたが、痛い。

でも、心のほうがもっと痛くて…


ツゥ……


涙がひと筋頬を伝うと、それまで滲んでいた視界が晴れた。

突然、広がったクリアな世界。

燃えるような朝焼けのなか、佐々くんが立ってる。

私を、……見てる。

責めるような、

射抜くような視線。


ものすごく怒ってるのに、

でも……

怖いよりも先に、愛しさが込み上げる。


スキ…

佐々くんがスキ……


ただ、それだけで胸がいっぱいになる。

感情が自由を失う。


「好きだ……花美……」


――好きだよ……佐々くん……


そう……答えることが出来たなら、

どんなにいいだろう……

喉に引っかかった言葉が、焼けるように熱くって……


「……っんく…」


伝えられない言葉を、唾と一緒に飲み込んだ。

そうしたら、今度は、くすぶった想いにむせ込んで、

涙が止まらない……


「…ぅっく…ヒック……ック…」


嗚咽が邪魔をして、用意してたはずの言葉が出てこない。


返事をしにきたのに……

佐々くんに、

お別れを言いに来たのに……


そんなのただの口実で、

眼前の佐々くんの姿に、ココロが暴かれる。

ただ、会いたかっただけだって、思い知らされる。


「……どこが…、いいのよ……」


――知らなきゃよかった……こんな気持ち……


「こんなオンナのっ、……どこがいいのよっっ!!!!」


悲鳴みたいに、叫んだ。
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