オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
――ここは、どこだろう…?
ブルーの世界に、キラキラ……と、
お日様の光が降ってくる。
深い水底に沈んだ私を、やさしく照らしてくれてる……
これは……
「……佐々くん?」
そおっと、手を伸ばし、その薄茶色の髪に触れる。
佐々くんが、私を見てる。
優しい目……
――……佐々くんだぁ…
「佐々…くん……」
うわごとのように、何度も呟いた。
「佐々くん……」
伏せた瞳の端から、涙が零れる。
ここは、涙の海の底。
冷たくて、
真っ暗で、
一人ぼっちで……
でも、このままでいいって、本気でそう思ってた。
だって、ここなら溢れた涙も水に溶けて、泣いてるのなんてわかんない。
誰にも、
私自身にも……
でも……
でもね、ホントはイヤだったの。
気づいて欲しかったの……、誰かに…
私が泣いてるって、
寂しいって、
悲しいって…
「……佐々……、く…ん…」
何度目かの呟きと同時に、
涙を湛えたまま瞳を開くと、目の前に佐々くんが見えた。
それが、どうしようもなくうれしい。
彼の両手が私の頬を包み込む。
暖かくて、大きな手……
コツン……
と、額を寄せ合い、もう一度、瞳を閉じる。
引き寄せられるように、唇が深く重なる。
本当に、こんなふうに、ずっと抱きしめててくれる?
ずっと、抱きしめてていいの?
永遠に続くみたいな、長く甘い抱擁。
このまま、佐々くんに抱きしめられたままなら、
――溺れ死んでも怖くないや……
そう思って…、
私は感情の海に身を投げた。
「…好き……」
好きです……
「…ごめんなさい……」