オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
誰かの寝息で、目を覚ましたのなんて初めてだ。
外はすっかり暗くなってる。
部屋の時計を見ると、20時。
最近、ろくに寝てなかったからな……
とはいえ、けっこう寝てたことに少し落ち込む。
「……しびれた」
顎を引いて視線を落とすと、オレの左腕を枕にして、花美が寝てる。
真っ白なシーツを、くしゃくしゃに抱きしめて、
うずくまってる。
そんでもって、
「…はは、くすぐってぇ……」
首とか顎とかに絡まった花美の髪が、呼吸に合わせてふわふわ揺れる。
それが、
なんか、すげぇ幸せって思う。
「…花美……」
起さないように、そっと抱きしめる。
伏せられた大きな目が少し腫れてる。
――涙の痕…
目が覚めたら、どんな顔すんだろう……
正直、ちょっと怖い。
『スキ』
そう、確かに言ってくれたけど、
でも、
今にして思えば、かなり追いつめて、
追い込んで、
無理やり言わせたような気も……、する。
しかも、何回……ヤった?
優しく……なんて余裕、全然なかった。
無我夢中で、何度も抱いた。
「痛かった……よな」
ハジメテは、痛いって言うし……
怖くなかったかな……?
「ぁあ~……何やってんだオレ……」
心の底から後悔するけど、
でも、花美が、オレの腕ん中にいる。
もう、それだけで……どうにかなりそうなくらい嬉しい。
「……ごめんな?」
とりあえず、謝っといた。
きっと、この先どんなに嫌われたって、絶対に離してなんかやれない。
もう、戻れない。
手に入れる前までとは、まるで違う。
オレ自身さえ、ゾッとするような独占欲が心に根を張ってるのがわかる。
花美を抱いて、自分の中の狂気を理解した。
「……花美……もし……」
そう、言いかけたところで、
スマホが鳴った。