オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)

「……なんで床に転がってんの?ベッドの上から動くなって言ったじゃん」


そう言いながら、私の手を取って、頬の氷を支えさせる。

そのまま、私を引き起こして床の上に座らせると、佐々くんは腫れている足に氷を当ててくれた。


――冷やすための、氷を割ってくれてたんだ。


「あ、ありがと……」

「オンナが顔に傷つくってんじゃねぇよ」


佐々くんは黙ったまま、目も合わせてくれない。

怒鳴られると思ったのに、沈黙が部屋を支配する。


「もう、怒ってない?」

「怒ってるよ」


そ、そっか、まだ怒ってるのか…、だよね。


「ご…ごめんね…その、よくあるんだぁ…知らないオンナの子に怒鳴られちゃうこと。だ…だから……慣れてるっていうか…」

「……」

「いつもはね?…その、相手が言いたいこと言っちゃえば、大事にはならないんだぁ…、大体が、誤解とか、言いがかりとか、逆恨みとかなんだけどね?はは…は…」

「……」


できるだけ、深刻さを増さないように明るく話すケド、

やっぱり佐々くんは返事どころか、頷くこともしてくれない。

それなのに、なぜか、


「……え?」


佐々くんは、そっと包み込むように、私を抱きしめた。


「ふるえてる…、気づいてねぇの?」


――うそ…


ふと、自分の指先を見ると、小刻みに震戦してる。


「やっぱ、もう、怒ってねぇわ。…大丈夫、怒ってない…」

「……っ」


なんで…?なんか…

胸の奥から暖かいものがこみ上げてきて、泣きそうに、なる。

――ギュウゥゥ…

って、心臓がイタくて、熱い。


「や…、だ、大丈…夫、離して…」

「細っせえカラダ……」

「佐々…くん、苦しぃ…」

「こんなのが、殴られたらと思うと、ゾッとする」


ホッとしたように、佐々くんが大きくため息をつく。

不思議……

一緒に、緊張が解けていく。

私の力が抜けた、その分だけ、佐々くんの両腕は、抱きしめる力を増していく。
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