嘘つきお嬢様は、愛を希う
「はぁ……だいたいなんでジャージ着なきゃいけないんだろ。やっぱり私服登校はダメなのかな」
あまりに腕の生地が余り過ぎて捲るのに苦労していると、外から「おいまだか」と急かす声が聞こえてきた。
……仕方ない。
めくるのは諦めよう。
だらしないからちょっと嫌だけど、いつまでも理月を女子トイレの前で待たせるわけにはいかないもんね。
垂れ落ちたズボンの裾が床につかないよう気をつけながら、私は急ぎ理月の元に戻る。
「ご、ごめん。ちょっと着るのが大変で」
「っ……」
手が出ていないせいで、思うように動けもしない。
なんとかもう少しだけでも捲ろうと葛藤する私を凝視すると、理月は一瞬ふらっと足元がおぼつかなくなった。