嘘つきお嬢様は、愛を希う
「……なあ、柊真さん」
『ん?』
「正直、混乱してんだよ。あんたがいつか俺に言ったように、守らなくちゃならない女が現れて……知らねえ自分が出てきてる今に」
まさかこんなことになるなんて思っていなかった。
あいつがここに来るとは思いもしなかった。
天馬が現れたあの時でさえここまで動揺はしなかったし、特に首を突っ込もうともしなかったのに。
『まあ、そんなもんだろ』
「え?」
『雅だってそうだったからな』
……雅さんが?
『むしろ雅の方が拗らせてたかもなあ。あいつは過去が複雑すぎて、サリちゃんに向き合うまでずいぶん時間がかかったもんだ。サリちゃんも昔はとんでもなくガードが堅くて中々距離が縮まらなくてな、見てるこっちはいつもヒヤヒヤしてたぞ』
思い出したのか、くつくつと笑いながら懐かしそうに柊真さんは腕を組む。