嘘つきお嬢様は、愛を希う
『まあなにはともあれ、桐乃ちゃんはお前にとって守るべき存在なんだろう? だったら今はとにかく、彼女が不安にならないよう尽くしてやるしかないな』
「……ああ。ま、善処はする」
胸の内に宿る儚い光に目を背けたくなるのを堪えながら、俺は画面に映る柊真さんに肩を竦めてみせて、立ち上がった。
『そうだ、理月』
「あ?」
通信を切ろうとすると、ふと思い出したように柊真さんが声をあげた。
『近々、唯織が帰ってくるらしいぞ』
「……唯織さんが?」
『ああ。一時帰国ってやつらしいけどな。せっかくだし俺も少し顔を出すつもりだから、そこん所よろしく』
爽やかな笑顔で唐突なことを言ってくれる柊真さんに「来なくていい」と嫌味をぶつけて、俺はため息をついた。