嘘つきお嬢様は、愛を希う
一代目総長の大翔さん。
三代目幹部の唯織さんと玲汰さん。
そして、伝説の姫──サリさん。
歴代の総長だけでなく、復活させてくれと頼んだ三代目の幹部メンバーがまさに勢揃いしていた。
絶句するしかない俺たちの前に緊迫した状況を忘れるようなテンションで現れた彼らは、幹部室に入ると現メンバーに向き合うような形で並ぶ。
なんとも言えない異様な空気が漂う中、最初に口を開いたのは意外にも風汰だった。
「……兄、さん」
驚きの中にほんの少しの恐怖を纏わせた、あまり聞いたことのない風汰の声。
どんな場面でも狼狽えることのない風汰が、唯一臆病になる時──それは実の兄の前だけだ。