嘘つきお嬢様は、愛を希う


さすがにベテラン勢なだけはある。


タイミングが良いのか悪いのか、柊真さんや三代目幹部まで勢揃いしている今……もう俺のプライドなんざどうでもいい。



「言われるまでもなく、だけどね。そのためにここに来たんだもん」



サリさんは力強い言葉で頷いて雅さんの隣に並んだ。



「これはあたし達にとっても無関係じゃないから」



ああ、と不意に思い至って俺は顔を上げる。


雅さんの深い闇をまとった闘志の宿る瞳と目があった瞬間、ぞわりと背中に寒いものが走ったような気がした。


……ったく、マジでこの人は敵にまわしたくねぇな。


華鋼なんかよりもよっぽど厄介だ。


つくづく味方で良かったと思う。

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