嘘つきお嬢様は、愛を希う
雅さんもとんでもない人を好きになったものだ。
まあ──俺が言えたことでもないかもしれないが。
ほんの少しの揺らぎを断ち切って、俺は一歩後ろへ下がりゆっくりと腰を折る。
「……こんなのは、正直あんまりしたくねえけど。それでも、あいつを……桐乃を確実に助けるためには俺たちだけじゃ人手が足りねえ」
「うん」
「だから、五代目総長として恥を捨てて頼みたい。……どうか、俺たちに力を貸してくれ」
これが最善の策だと最初から分かっていた。
それでもなかなか踏み切れずにいた俺が、結局最終的にはこの決断を下すことを見越して、櫂さんは自ら雅さん達に連絡してくれたのだろう。