嘘つきお嬢様は、愛を希う





華鋼のアジトは、屋敷だけでやっている胡蝶蘭と違ってとにかく規模が広い。


最奥まで行くにはその前に現れる奴らを全員ぶっ倒さないといけないため、容易にはいかないだろう。


なんといっても面倒なのは、数の多さだ。


かつての龍靭のメンバーが華鋼に吸収されたこともあり、下っ端の数だけなら胡蝶蘭の三倍はいる。


無論ウチは下っ端でもそれなりに戦えるヤツが多いし、ひとりで三人を相手にすることを考えれば……。



「まあそうくるよねー」



──なんて、余裕を持っていられるほどヤツらは甘くない。


空にはまだ星が浮かんでいるというのに、アジトの入口周辺には数えきれないほどの敵がこちらを待ち構えていた。


どこか楽しそうに肩を回している唯織さんの隣で、柊真さんが「気ぃ抜くなよ」と呆れながら首を回す。

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