嘘つきお嬢様は、愛を希う
「向こうもこっちをぶっ潰す気で仕掛けてきたんだろうからな。……で、櫂? ヤツらは下っ端どもか?」
「幹部として名が上がってる顔は三人ほど見られるが……まあ華鋼は幹部の数自体が多い上、ひとりの戦力はそう高くないからな。問題ない」
普段は前衛に出ない櫂さんでさえ、その冷静さを欠くことはない。
玲汰さんに関してはまだ欠伸を零しながら首をカクンカクンさせているし、さすがにベテラン勢は余裕がある。
風汰や瀬良は別としても、ウチのガキどもは敵の数に臆しているヤツも少なくない様子だった。
まぁこんな状況で平静を保て、と言ったところで、そんなことが出来るのは未来の幹部候補くらいだろう。
……現に幹部補佐についている野良猫たちは、他のガキどもと違い、三人とも肝が座っている。
狼狽えるガキどもの尻を叩き、幹部の補佐としての仕事も抜かりなくこなす姿はやはり頼もしい。