嘘つきお嬢様は、愛を希う


その『何か』が、私が求めているものと一緒だと気づいたのはいつだったのか……。


……あぁ、たぶんあの時だ。



『頼むから、変な真似はすんなよ』



理月らしくないなと思う傍ら、これが本当の理月なのかもしれないとも思った……あの瞬間。


私が彼を拒んだのは『堕ちる』予感がしたから──。


ダメだ。


頭の中がぐるぐるして思考がまとまらない。


「……りづき……」



ぽつりと零れた声が闇に霞んで消えてゆく。

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