嘘つきお嬢様は、愛を希う


「確かに桐乃は俺たちの大事なもんだよ。でも、そいつが絶望した? はっ、そりゃ有り得ねえ話だ」


「……なに?」



俺は一歩、一歩と矢倉の方へ近づいていく。


警戒を強めた矢倉は桐乃の首に手を回し、これ以上近づくなと警告を送ってくるけれど、構いはしない。



「今この状況でどこに絶望する要素がある? 外のヤツらは間違いなく全滅だ。いま唯一無傷で残ってるお前でも、さすがに俺たち全員を相手に勝機はねえ。

桐乃はただ俺たちに助けられるのを待つ──ただそれだけだ。絶望どころか、希望しかねえだろ」



ついでに俺たちが絶望するってのも有り得ない。




──なぜなら。

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