嘘つきお嬢様は、愛を希う


「ねえ、どう? 今の気分は。まあ君のところのお姫さまが絶望に染まるのはお先に頂いてしまったけど。良かったなあ、ボクに蹴られて恐怖する時の顔」



俺たちが纏う怒りがぶわっと強くなる。


天馬に至っては完全に頭に血が上っていた。


今にも飛び出していきそうなところを、すんでのところで瀬良が抑えてくれている。


……だが、恐らく全員同じ気持ちだった。



「テメーはなにか思い違いをしてるようだな」



このお喋りが長引けば長引くほど、桐乃の身体はどんどん弱っていくだろう。


そして矢倉もそれを狙っている。


弱りきった体にとどめを刺すことで、こいつのいう『俺たちの絶望した顔』を拝めようと思っているのだ。

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