嘘つきお嬢様は、愛を希う


「っ、おい」



危うく受け止めると、へらりとした笑みが返ってくる。



「あは、さすがに限界……ていうか、よく気づいたね」


「あ?」


「さっき私が目覚めてたの知ってて近づいてきたんでしょ?」



それすら気づいてたのかよ。



「……一瞬だけ呼吸が乱れただろ」


「そんなんで気づくのは理月くらいだって……」



はあ、と桐乃は浅く弱々しい息を吐く。


思っていたよりもずっと血色がない。

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