嘘つきお嬢様は、愛を希う


「ありがとう、ございます」



感覚的なもの。本能が察知しただけ。


それでも、櫂さんはあの人に似た瞳をしているから。


……もちろん私は櫂さんのことをまだなにも知らないし、彼がどんな人間なのか知る由もないけど。


ただ、ああいう瞳をしている人間は、みんな決まって幾度もの絶壁を乗り越えてきている。


切り捨てるものは、容赦なく切り捨てる。


たとえ感情を殺してでも、本心に背いてでも、それが是だと判断すれば迷いもせず行動に移す。


それは時にロボットのように残酷で……涙すら流れないほどひどく悲しいものだと、私は知っている。


後ろ手に扉を閉めながら、頭に浮かぶあの人の顔を打ち消すように目を閉じた。



「……いや、櫂さんだけじゃないな」



大翔さんに、雅さん──そして。

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