暴君と魔女
「・・・・元気だったんですか?」
「・・・・・あら、なんだかんだで気になっているんじゃない」
「海里や子供ら限定で」
「ふっ、素直じゃないのね~。元気よ元気、子供らは素直で無邪気だし、海里ちゃんは相変わらず昊を振りまわしてたし」
思わずその言葉に噴いて口を押さえる。
【海里】
大嫌いな従兄が唯一求めた絶対の番。
相変わらずあのグリーンアイも悪魔を翻弄する魔女の1人か。
あいつが唯一支配しきれない女の1人に敬意を払ってしまいそうだとあの姿を思い出す。
記憶に刻まれた人形の様な美しさを思い返していれば、耳に入りこむ予想外の言葉。
「昊がね、秋光の事聞いたら「コレを」って・・・」
桐子さんが持っていた鞄を片手であさると「あったあった」とそれを取り出し俺に差し出す。
受け取り見つめて不動になった。
瞬間に懐かしい生温い風を体に感じる。
相変わらずそこに吹くのは冬の冷気だと言うのに、それを見た瞬間は確かにそんな風を感じた。
「・・・・・紙飛行機・・・ですか」
「もっと遠くに飛ばせる折り方ですって。言えば伝わるって言ってたけど?」
その言葉に小さく笑って頷いて視線を落とす。
「はい、・・・・分かります」
もっと、遠く・・・、
あいつは追いついたと思っても必ずそれより先を行っているんだよな。
受け取ったそれを見つめ小さく書かれた文字にも笑う。
【Free・・・】
分かってるよ・・・、もう分かってる。
言いたい事を理解して、その紙飛行機を秋光に手渡すと頭を撫でながら桐子さんに言葉を返した。
「・・・本当は、食事に誘われていたのでは?」
「勘のいい子ね」
「・・・・・・秋光を、あの子たちと遊ばせてやってください」
「・・・あなたは?」
「・・・・俺は、・・・・あいつが大っ嫌いなので」
微笑んでそれを告げると、返されるのは苦笑い。
でも本気の悪意が無い事を理解している桐子さんも頷いて了承する。