暴君と魔女
Side 四季
物心つく時にはすでに両親はいなかった。
事故だったと祖母が教え。
その祖母はロシア系の同じ目の色をした柔らかい人だった。
祖父はこのロスに住みついていた日本人で、自分が産まれるより前に他界している。
自分の両親はハーフである父とやはり日本人であった母。
写真に残るその姿を見れば、私は容姿こそは母に似て。
この眼の色は祖母から父に、父から私に渡ってきたのだと理解する。
そして・・・・、
この本来不必要である不可思議な力は・・・、
語り合い確認したわけではないけれどきっと祖母から受け継いだのだと予想する。
この力は不思議だ。
必ずしも全員のそれが見えるわけでなく、見える人でもその濃度が異なっているのだ。
そしてある法則に気づく。
濃く、見えれば見える人ほど・・・、
過去に大きく影を落としているんだ。
初めて愛したのは・・・・、
柔らかく微笑む日本人の人だった。
その時働いていたカフェで、いつものようにコーヒーのおかわりを確認してテーブルを回っている時。
彼の印象は私の中にはっきりと残っていて、いや、働いていた店員はみな印象に残っていた筈。
それは良くも悪くも彼が・・・車いすに乗っているという姿の印象で。
その彼はいつだって同じ席に座り、窓の外を眺めて注文したコーヒーだけで数時間は入り浸る。
決してその事を疎ましいと思った事はなく、まるで空気の様に当たり前に彼はそこに存在して。
そしていつの間にかフラッとその姿を消しているのだ。
その日もそんな感じだった。
いつもの場所でいつものようにコーヒーを飲んでいた彼。
他にもいる客にコーヒーを注いで周り、そして彼の席にも足を止め声をかけた。
「・・・・おかわりはいかがですか?」
声に反応し振り返った彼が微笑んでカップを差し出して、そのカップにコーヒーを注ぎ始める。
コポコポと音と湯気を立て注がれるコーヒーを穏やかな眼差しで見つめる彼。