暴君と魔女




Side 望



驚きに満ちたグレーが揺れるのに懐かしさが募った。


懐かしいというほどの期間ではないのに、その所在を全く知らなかったその時間は長く永遠の様で。


こうして姿を捉えればその健在の美しさで離れていた期間の短さを頭では理解した。


そう1年半ほどだ。


たったそれだけの期間。


それなのに、理由も知らされず、突如いなくなったお前の姿にどれだけ苦しんだ期間だったか。


やっと見つけた。


そう思った瞬間にその姿に近づこうと一歩を踏み出す。


重苦しい一歩。


色々なこの一年の感情がまとわりついた一歩。


それなのに、


ビクリと反応を示したと同時に俊敏にその身を翻した白い姿が兎の如く駆け出して。


軽く不意をつかれたその行動に、一瞬遅れて名前を響かせると自分も足取り軽く駆け出した。


馬鹿女っ・・・・・。




「っ・・四季ーーーー」




こんな足取り悪い雪の中で、


・・・っ、そんなもの抱えて走るんじゃねぇよ!!


薄く張った白い雪に何度か足を取られてバランスを崩す。


転びはしないものの足取りの不安は自分の事より目の前を走っている四季に働く。


頼むから、


頼むから転んでくれるな。


真剣にそんな事を思いながら、無駄と理解しながらその姿を呼びとめる。




「しっ・・・四季っ、止まれ!!」


「っ・・はぁっ・・はっ・・・嫌です!!」




嫌だ?


振り返りもせずに言い返された言葉に軽い苛立ち。


そんなに俺と再会するのは嫌な出来ごとの一つだったのか?


さっきより強まっている雪も煩わしく。


視界を覆うように降ってくるそれは四季の白い姿を隠し後押ししているようで。


それを振り払うように目を凝らしてその姿を追う。


そしてさっきからずっと脳裏に浮かんでいるのは・・・・、


あの夜の事なんだ。


あの日も逃げるお前を追いかけて。


その白い姿を見失わないように追いかけて。


そうして腕に捉えてしまえば勝ち得た物は欲しかったお前の本心だった。


だからこそ、


その歓喜に満ちた記憶が今も尚鮮明に胸にあるからこうして苦しくても追いかけてしまう。





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