柴犬のお尻愛好会
結局、俺はその場を離れて逃げることにした。
「あー……それじゃ」
と手を上げて、背を見せようとしたところ、「戻ってこいよ!」と荒木が声を張り上げた。
「え」
振り向いて、荒木を見る。
荒木はまっすぐと俺を見据えていた。その瞳の強さに、足がすくむ。
「野球はピッチャーじゃなくてもできるだろう」
荒木の言葉に、俺は拳を握り、歯を食いしばった。
そうでもしないと、荒木に殴りかかってしまいそうだった。
荒木はどこも悪くない。
無茶な練習をしたのも、痛むのに病院も行かずやり過ごしたのも、すべて俺。
俺が悪い。自業自得。
それでも、子供の頃からマウンドに立ってボールを投げることに憧れ続けていたので、
やっと手に入れた夢を自分の過失で手放すしかなくなったことが、どうしても許せなかった。