海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。
その日から、
気がつけば折山さんを目で追っていた。
自分なりに気づかれないようにはしてる。
折山さんは少しずつ前に進んでいっているのが、彼女の表情で読み取れた。
心の中には、まだ......先輩がいるかもしれないけど。
そう思うと、俺は自分の気持ちに素直に行動できなかった。
折山さんと話したい。
俺を見てほしい。
俺の名前を読んでほしい。
急激に、折山さんを好きになっていったわけじゃないと思う。
きっと俺は、春休みにはじめて折山さんの優しさを知ったあの日から、
彼女に惹かれていた。
だけど、先輩がいたから、自分の気持ちに知らないふりをしていたんだ。
話しかけられない毎日が着々と進んでいって...
ついに冬休みに突入してしまった。
...もしかしたら、会えない2週間のあいだに、
この気持ちは薄れていくんじゃないか?
一瞬そう思った。
むしろ...そうなりたかった。
折山さんを見るたびに、俺は胸の奥が苦しくなる。
こんなに苦しいのなら...
“好き”なんて気持ち、なくなってしまえばいい。
だけど...そんなこと、あるわけなかった。
折山さんともし、大晦日をふたりで過ごせたのなら。
もし、ふたりで初詣に行けたのなら。
そんな願望たちが余計に膨らんで...膨らみ続けて。
三学期が始まったら、
絶対に話しかけよう。
折山さんの視界に、
映りたいんだ。