海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。


隣の席の机の上には、まだ理科の教科書とノートが置かれている。


折山さん、まだ移動していない...?


トイレだろうか。


そろそろ移動しないと、授業に遅れてしまう。


俺は後ろのロッカーで小さな彼女の後ろ姿を見つけた。


後ろ姿だけで、こんなにも可愛い。


抱き締めて胸に閉じ込めてしまいたい。


そんな衝動にかられる。


俺はそんな気持ちをぐっと抑えて、“なに探してるの?”と話しかけた。


折山さんは“ううん、大丈夫”とロッカーから自分の机に移動する。


探し物はなかったのかな。


でも今は理科実験室に移動しないといけないよね。


気づけば教室には俺と折山さんのふたりだけ。


考えが瞬時に変わり、

授業なんてどうでもよくなってきた。

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