海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。


ふたりでさぼってどこかへ行ってしまいたい。


連れ去ってしまいたい。


こんなこと言ったら、折山さんは困るかな。


......困るよね。


だけど、そんな困った顔が見てみたい気もする。


そんなことを脳内で巡らせていると、

目の前にカップのガトーショコラが差し出された。


............えっ?


折山さんの、手作りだ。


まさかのタイミングに、目を丸くしてしまう。


うわ、嬉しすぎて泣きそう。


好きな人からのバレンタインって、こんなにも嬉しいんだ。


知らなかった。


折山さんが、教えてくれた。


......だけど、片想いの相手からの義理チョコは、


こんなにもむなしいんだって。


俺はたった今気づいた。


チョコをもらえないことは論外かもしれないけど、

義理チョコ=友達としてしか見てないという紛れもない事実を、

俺はこれを受けとることで自分自身で認めてしまいたくなかった。


せっかく作ってきてくれたのに、

ごめん、折山さん。

< 139 / 220 >

この作品をシェア

pagetop