海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。
ふたりでさぼってどこかへ行ってしまいたい。
連れ去ってしまいたい。
こんなこと言ったら、折山さんは困るかな。
......困るよね。
だけど、そんな困った顔が見てみたい気もする。
そんなことを脳内で巡らせていると、
目の前にカップのガトーショコラが差し出された。
............えっ?
折山さんの、手作りだ。
まさかのタイミングに、目を丸くしてしまう。
うわ、嬉しすぎて泣きそう。
好きな人からのバレンタインって、こんなにも嬉しいんだ。
知らなかった。
折山さんが、教えてくれた。
......だけど、片想いの相手からの義理チョコは、
こんなにもむなしいんだって。
俺はたった今気づいた。
チョコをもらえないことは論外かもしれないけど、
義理チョコ=友達としてしか見てないという紛れもない事実を、
俺はこれを受けとることで自分自身で認めてしまいたくなかった。
せっかく作ってきてくれたのに、
ごめん、折山さん。