海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。
お腹...すいたな。
わたしは横になったままお腹を軽くさすった。
海くん、マドレーヌ出してくれるっていったけど、
わたし、なにか持ってきたらよかった。
今さらそんなことに気づいた。
そうだ、ガトーショコラ。
バレンタインのときにガトーショコラを食べてもらえなかったから、今度作ってあげよう。
あのときほんとは、箱のほうのガトーショコラを海くんに渡すつもりだった。
だけど、見るからに本命チョコみたいで、なんだか恥ずかしくて渡せなくて、カップのガトーショコラをあげることにしたんだよね。
いきなり作ってきたら、びっくりして喜んでくれるだろうなぁ。
想像しただけで嬉しくなる。
どうやらわたしはかなり海くんのことが大好きみたい。
...もっともっと、好きになりたいな。
一本目の映画のときは、人ひとりぶん距離が空いていたけど、
次は、絶対ひっつきたいなあ...ーー
ーー...頬に柔らかく、生温かいものを感じて、わたしはゆっくりと目を覚ました。
わたし、あの数分で寝ちゃってたんだ。
「...!!??」
目の前には海くんの顔。
わたしは驚いて目を丸くするけれど、彼はそれ以上に戸惑いを隠せない様子。
今のってーー。