【完】キミさえいれば、なにもいらない。
「あ……」


その寂しそうな背中を見送りながら、何とも言えない罪悪感にとらわれる私。


あぁ、どうしよう。


私ったら、今のはちょっと言い方がまずかったかな?


でも、他になんて言えばよかったの……。


彼のことをひどく傷つけてしまったような気がして、胸が痛む。


告白を断ったのは、仕方がない。


それは、相手が一ノ瀬くん以外でも、返事は一緒だった。


だけど私は自分でも、どうしてここまで苦しい気持ちになるのかが、わからなくて。


一ノ瀬くんの悲しそうな顔が、しばらく頭から離れなかった。


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*


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