【完】キミさえいれば、なにもいらない。
最初はショックのあまり冷静に考えることができなくて、しばらくは毎日のように家で一人こっそり泣いていた。


でも、陸斗先輩を好きだったことは誰にも話していなかったし、結局私は誰にも相談することができなかった。


お兄ちゃんにだって、もちろん言えない。璃子にも話せない。こんなみじめな失恋。


辛くて、苦しくて、どうしていいかわからない。


どうして急にこんなことになってしまったのか、本当にわからなかった。


ついこの間までは、あんなに優しかったのに。


まるで、私のことを好きみたいな態度だったのに。


あの言葉も、態度も、全部全部ウソだったの……?


そして何より、あの時のキスは何だったんだろうって、それがどうしも心の中で引っかかっていて。


私はとうとう陸斗先輩を呼び出してしまった。


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