【完】キミさえいれば、なにもいらない。
放課後の誰もいない教室に残って、二人で話した。


『先輩、彼女ができたって本当?』


私がそう聞いたら、陸斗先輩は気まずそうな顔をして頷いた。


『あぁ、そうだよ。遥から聞いたの?』


『うん』


『そっか。ごめんな、雪菜にも話そうとは思ってたんだけど、なかなか話すタイミングがなくて。聞きたかったことってそれ?』


そんなふうに問いかける先輩は、やっぱりなんだかそっけなくて。


もう私のことなんて相手にしたくないかのように見えた。


『……違う。どうして……』


『えっ?』


『どうして先輩は、あの時私にキスしたの?』


だから私は、思い切って尋ねた。


ずっと聞きたかったこと。心の中で引っかかっていたことを。


『私のこと好きじゃないのに……。他に好きな子がいたんでしょ。じゃあなんで……っ』


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